テーマ曲を作るにあたって
河口 悠介
Hihukushoラジオのオープニング・エンディングで流れるテーマ曲は、元々は『哀しみもまた』(作詞:池田正彦、作曲:森近正隆)という曲です。熊本県出身の劇作家・宮本研の一人芝居『花いちもんめ』を広島で上演するにあたり、そのテーマ曲として作曲されました。『花いちもんめ』は、満蒙開拓団で満州(今の中国東北部)へ渡り、子供を中国人に売らざるを得なかった一人の女性の哀しい物語。童謡『花いちもんめ』に潜む人買いの歌でもあります。
このHihukushoラジオのためにリメイクするにあたり、元々の曲が持っている哀愁、郷愁を感じさせるよう、落ち着いた曲調にして雰囲気が残るよう、心がけました。「このHihkushoラジオを配信することで、被服支廠のこれからが少しでも良い方向に動いてほしい」との想いから、原曲では1拍目からフレーズが始まりますが、これをあえて1拍目以外から始まる弱起にし、またドラムの音量を少し大きめにすることでリズムを出し、前に進んでいく。軍服や軍靴の製造、修繕、保管という形で戦争に加担し、被爆直後には臨時救護所として多くの被災者の最後を見届け、そして復興してく様子を見守り続けた広島陸軍被服支廠。100年以上もこの場所に建ち続け、軍都廣島として栄えていく過程から被爆地ヒロシマとして復興していく様子まで、広島の歴史を見守っている建物としてふさわしい形で保存され、活用されることを願って。
Hihukushoラジオ テーマ曲 スコア
哀しみもまた
作詞 池田 正彦
作曲 森近 正隆
ふるさとの声 やさしく抱く 哀しみもまた 鋭い刃
鈴の音さがし 今も聞こえる この歌が
古里もとめて 花いちもんめ
もんめ もんめ 花いちもんめ
はかない夢は 吹雪で凍る 撫子草の うす紅は
一輪だけが 小さく光る この花よ
古里もとめて 花いちもんめ
もんめ もんめ 花いちもんめ
生命のきずな 絶たれた時に 私の祖国は はるかに遠く
微笑みかえす あの人この子 思いつつ
古里もとめて 花いちもんめ
もんめ もんめ 花いちもんめ